アンティグアのスペイン語学校(3)さて、8時になった。グアテマラ人の女性が数人と日本人の男性・女性が次々にやって来た。 日本の若者が一人のグアテマラ女性の前に私を連れて行き、 「ブランカ先生です。」と紹介してくれた。 早速授業が始まったが、教科書などは無い。 「ブエノス・ディアス」「ブエナス・タルデス」「ブエナス・ノーチェス」などと言いながら、ブランカは藁半紙に書いて行く。 その言葉を復唱しながら、私はノートに写して行く。 挨拶から始まって、自己紹介、出身地など、会話としては基本中の基本である。 日にちや曜日や時間など次々に進むが、私はスペイン語の単語を殆ど知らないから、おもしろいと言えば面白い。 昔、夫の親友が 「外国語を話すのには〈単語〉と〈心臓〉だけで良い。」と夫に言っていたそうだ。 夫ははピカイチの【心臓】の持ち主であった。 頭も抜群に良いので、言葉を覚えるのも早かった。 その上何と言っても〈話上手〉なのだ。 〈話をすること〉が好きだった。 何国人であろうと、5分で友達になってしまうのが私の夫だった。 授業は正午までだが、中間に30分間の休憩があるので、正味は3時間半だ。 休憩時間にまたさっきの若者(カツさん)が1枚の紙を持って来た。 アタバル・スペイン語学校のパンフレットの裏側にアンティグアの町の地図(と呼ぶにはお粗末な)が書かれている。 京都の町並みと同様、碁盤の目のようだ。 縦横7本の通りと、周りにおまけが少し付いている程度。 若者はホームステイの場所を教えてくれようとしている。 3個所に印が付いていて、名前が書いてある。 他にも数人が集まって来て「近いところから回ってみたら?」とか、自分の家は食事が美味しいとか、自分には合わないとか賑やかだ。 カツさんは更に言う。 ブランカが明日の午前中都合が悪いので、今日の午後3時から5時までと、明日の午後3時から5時までにして欲しいというのだ。 それでは急いでホームステイ先を探さねばなるまい。 |